THE BOOK OF CIRCLES イベント覚書

青山ブックセンター本店、

三中信宏さん、山本貴光さんトークイベント。

THE BOOK OF CIRCLES刊行記念。

 

 

僕らの視界はどんな形をしているのだろう。

山本貴光さんの問いに対して、僕は一度、目を閉じた。再び目を開くと光が入り。視界を広げる。視界の端の境界線は僕らの描く線のようなものでなく、おぼろげで形を持たない。これは、直線だろうか曲線だろうか。

 

 空を見上げた時、僕らの視界が円であるなら理解しやすい。星図や天球図、空の形を円で書く理由が分かる。でも、視界は円だろうか。そんな気はしない。

 

 円には隅がない。中心から等間隔に広がる。世界を表すのにこんなに便利なものはない。辺境は全ては辺境。中心からの長さで決める。

球であれば中心すら持たない。僕らはその刹那、平等になる。

君の極北が僕であっても、僕は僕の中心にいる。世界は僕の知る限りにおいて、理解できる。

 

魔法陣によって結界を作る。

そのサークルは隔てるもの。円はやっぱり世界を表しやすい。魔法陣の中は、悪魔の世界だ。魔法陣の外は人間の世界。人間の世界に悪魔の世界を呼び出すのだから、円である方が都合が良い。世界はなるべく類似させてあげた方が、安心もできるって話なのかもしれない。

 

円が世界のメタファーとなるなら、世界の構成要素はあるルールによって表現される。そこから逸脱したものは世界の外へ弾かれる。

僕らは全てを知ることができない。そんな処理能力は持ち合わせてない。

僕らはだいたいの世界を知るだけ。例外ははじいてしまう。

 

コンピュータの処理能力は人間なんか比じゃない。あらゆる構成要素をありのままに表現する。世界は丸くなんかない。もっと不恰好なのだ、と言わんばかりに。

 

昔の漢字、中国の。太陽は円であり、月は欠けていた。

円は完全だという認知。欠けている、ということは、円ではない、という認識。

 

完璧な世界は、完璧な形をしていない。

ネットワークの表現は僕らに不安を呼び起こす。形にならない形。不完全な形。それってなに?なにも表してないんじゃないかな?って。

 

ただし、コンピュータの方が処理能力は高い。おそらく、不完全な形こそが、完全な形。

私たちが理解しがたい円ではない形を、どう処理しようというのだろう。

 

僕は小さい。

とりあえず、世界の断片をくり抜き、円で描いて、生きる術を学ぶ。それから少しだけ歪な拡張を行い、再び円を目指していく。

僕は小さいながらも拡張していく。

まず、円で描いて僕の世界を知ろうと思う。

 

 

 

THE BOOK OF CIRCLES - 円環大全:知の輪郭を体系化するインフォグラフィックス

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